第7章 この世の良さ
どうすればいい…どうすれば…ヒカリを止められる?
《ヒカリside》
私の攻撃でナイスくん、はじめちゃん、ムラサキさんがどんどん傷付いていく。
嫌だ…嫌だ…!止めてよ…どうしてこんな事に…
自分の力なのに自分のじゃない感じがする。回りの皆の声も混ざって聞き取れない。押さえようとしても効かない。
「…止まっ…て…お願い…」
心の中で願ってもそんなのは結局通じない。
こうなった以上…死ぬしかないのかもしれない。
ムラサキさんたちは私の攻撃でもう立ち上がるのがやっとだった。
ナイスくん、はじめちゃん…ごめんね…
ムラサキさん…
大好きです
水の刃で自分の背中から突き刺す。意識が遠退く。
「ヒカリィイイイ!!!」
《ムラサキside》
ヒカリは自らの力で自分を殺めた。真っ赤な鮮血が水に混じる。
「ヒカリ…」
はじめが信じられないものでも見るように目を見開く。
「…自分で死ぬことないだろ…」
顔を伏せ、悔しそうに呟くナイス。
分からない感情が自分の中で渦巻く。自分の体に鞭を打ち、横たわるヒカリの側に行き、抱き寄せる。
あんなに守ると言ったのに…あんなに好きだったのに…
「あーぁ…まさか自分で自殺するなんて」
後ろであの教師が残念そうに肩をすくめながら言った。
「まだ、抗う力があったなんてね…誤算だった」
「誤算…だと?」
「?」
「これだけの力をヒカリに注ぎ込んでおきながら誤算などと言う言葉で片付けるな!!」
教師に殴り掛かる…が弱った体では攻撃など出来るはずもなく空を切る。
「はあ…まあ、ミニマムなんてまだあるからいいか…」
さも、ヒカリは実験台だったかのような台詞。腹立たしい。ヒカリにこんなことをさせておきながら。
「歯、食いしばれぇえ!!」
渾身の右ストレート。
「グハッ」
見事にやつの頬にヒット。何故能力を使わなかったのか分からないが教師自体さほど強くないようだ。