第2章 依頼人
「…」
沈黙したまま、何分たっただろう。そんなにたってない気もするし、結構な時間がたったようにも思える。
ナイスくんの方が良かったかも…
「おい」
「え!?あ、はい!」
「ボーっとするな、人にぶつかるぞ」
考え事をしていたせいか、いつの間にか人通りの激しい大通りに出ていた。
「あの、ムラサキさん」
「なんだ?」
「何処かに寄って行きませんか?恋人同士と言う訳ですし」
「…わかった」
ムラサキさんは少々、めんどくさそうに頷いた。
私はムラサキさんを連れてショッピングモールに来た。昔から異性と何処かに遊びに行くことはなく、勿論彼氏もいた試しがない。少しドキドキしていたりもする。
「ムラサキさんはこうゆうところには来ないんですか?」
「依頼でなら来ることもあるな」
「依頼…ですか」
なんだか、会話が弾まない。しばらく、歩いていると可愛い服が並ぶお店を見つけた。
「わあ!可愛い!」
思わず、駆け寄り、ワンピースを手に取る。肌触りがよく着心地が凄く良さそうだ。
「そうゆう服が好きなのか?」
「はいっ普段、服選びとか出来ないし、皆お母さんが買ってくるので」
「女子はよくこうゆうのを好むのか」
「女の子なら可愛いもの好きですよ」
笑顔で返してみたもののムラサキさんは特に表情を顔には出さず、眺めているだけだった。
大丈夫かな…やっていけるだろうか…