第6章 キスの効果
「へい!いらっしゃい!」
威勢のいい声に出迎えられ、ヒカリはおじさんにお金を渡して網を貰う。裾を捲り上げ、気合いを入れているようだ。
「ヒカリ、金魚をすくってどうするんだ?」
「家で飼います!お喋りもしますよ!」
やけに嬉しそうに喋るヒカリ。まあ、ヒカリのミニマムなら喋ることなど容易いが…。嬉しそうに喋るヒカリがなんとも愛らしかった。
「なかなか難しいですね…金魚すくい」
「お嬢さん、そんなに闇雲に突っ込んでも逃げてくだけだよっ金魚の後ろからソーッと静かに網を入れるんだ」
「ゆ、ゆっくり静かに…!」
慎重に金魚の後ろから網を入れ、一匹すくいカップに入れる。
「わあっムラサキさん!一匹すくえましたよ!」
子供のように無邪気にはしゃぐヒカリ。こうゆうの祭りにはあまり来られないからなのか、いつもより元気があるように見えた。
結局すくえたのは一匹だけで水の入った袋には一匹の金魚が優雅に泳いでいた。
「一匹だけだったな」
「はい、でもこれでいいんですっ」
「どういうことだ?」
「この子だけに愛情を注げばいいんですから」
ニコニコしながら金魚を眺める。ヒカリはそのミニマムがあるからなのか動物にも植物にも優しい。色んなものに慕われている。
「次はどこに行く?」
「あ!私、前から綿あめ食べて見たかったんです!」
ヒカリの要望により、綿あめを購入。綿あめをもの珍しそうに眺めてからそのままかぶり付いた。
「ふわふわですねっ甘くて美味しいですっ」
「俺にもくれるか?」
「はいっどうぞ」
綿あめを少しもらい、口に運ぶ。懐かしい味がした。