第6章 キスの効果
自宅に戻り、ハニーに連絡を入れる。呼び出し音がしばらく鳴った後、馴染みのある声が響いた。
『もしもし?どうしたのよ、ヒカリ』
「ハニー、今度の土曜日、空いてる?」
『土曜日?…ちょっと待って』
そう言うと携帯から顔を離したのか、ハニーの声が遠ざかる。時たまスリーの声も混じって聞こえた。
『空いてるけど…何かあるの?』
「夏祭り行こうと思って!」
『夏祭り?私とヒカリで?』
「ううん、ハマトラの皆も一緒」
『…ヒカリがどうしてもって言うなら行ってあげなくもないわ』
「お願いっ!夏祭り、行こっ?」
『しょうがないわね』
「ありがとうっ」
ハニーも来てくれるようで良かった。大勢で行事に参加するのは久しぶりでわくわくする。早く土曜日になってほしい。
***********************
夏祭り当日ー
「ふふっ」
「楽しそうだな、ヒカリ」
夕方、太陽が沈む手前の時間に私はムラサキさんと一緒に夏祭りが行われる神社に向かっていた。
「はいっだって、久しぶりにお祭りに行くんですよ!わくわくしますっ」
私とムラサキさんで懸命に選んだ浴衣を着て、下駄をカラカラ鳴らす。
「ムラサキさんは浴衣着ないんですか?」
「持ってないからな」
「…それだったらあの時、ムラサキさんのも買うべきでしたね」
「いや、別にそこまでしなくても…」
「ムラサキさんの浴衣姿とか見てみたいですっ」