第6章 キスの効果
《ヒカリside》
昨日のことを考えるだけで内側から熱くなる。ムラサキさんは全然いつも通りで私だけがバカみたいに緊張している。それを悟られては行けないと思い、いつも以上に元気に振る舞う。
「ここですね」
目的の店を見つけ、入る。いつも服の事はここに相談しなさいとお母さんから言われていた。
「ヒカリ様ですね?」
唐突に店員から声を掛けられた。
「はい、そうですけど」
「今日はどういったものをお探しで?」
自分の事を知っているらしい。まあ、お母さんがなんかしら喋っているのだろう。私は浴衣を買いたいと言うと店員は一礼して奥に消えた。
「よく来るのか?ここには」
「いいえ、よく来るのはお母さんなんです、多分色々喋ってるんですよ」
しばらくしてから準備が出来たと言われて奥に通された。ムラサキさんと一緒に通された場所には浴衣がずらりと並んでいた。見ただけでは何着あるのか分からない。
「こんなに」
「この中からお気に召されたものを試着してもらって構いませんよ、決まりましたらお呼び下さい」
また、消えた店員さん。まさか、ここまで揃えてもらえるなんて思ってもみなかった。ムラサキさんと呆然している場合ではなく、好きな浴衣を選ばなくては!
「うーん…こんなにあっても迷うなー」
「手伝おうか?」
「い、いいんですか?」
すぐ近くにいたムラサキさんに一瞬ドキッとしたが面に出さないようにすぐ取り繕う。いつになく至近距離のムラサキさんに昨日の事がフラッシュバックする。ブンブンとそれを振り払うように首を振る。
「どんなのがいいですかね?」
「そうだな…黒の浴衣なんてどうだ?ヒカリ、肌が白いし、髪も明るい色してるからな」
「…///」
「ヒカリ?」
な、なんで今日はそんなに私を褒めるのっ!?いつもそんな事言わないムラサキさんなのに!!