第6章 キスの効果
《ムラサキside》
次の日ー
「…やってしまった…///」
ヒカリの自宅に向かいながら昨日、自分がしたことを思い返す。気が付いたら体が動いていた。あの時、自分の中で勢いよくかけ上がった感情…それを制御することが出来ずキスをしてしまった。
「会わせる顔がない…」
ヒカリの自宅に着いた。いつも通りにヒカリが出てくる。
「おはようございますっムラサキさん」
…あれ?
「おはよう」
意外にもヒカリはなんの変化も見せず、いつも通りの絵で話し掛けてきたのだ。…意識してるのは俺だけなのか?
「ヒカリ…昨日は…」
「あ!昨日は話聞いていただいてありがとうございます」
「お、おう」
「今日は少し遠出しようと思いまして!」
「遠出?」
ヒカリに連れられ、電車に乗り込む。流石都会と言うべきか混んでいた。あまり電車に乗らないからか余計に人がいるように見える。
「人がいますねー」
「あぁ、はぐれるなよ?」
「分かってますよっ心配なら手、繋ぎますか?」
「…///」
意識してるのを知ってか知らずかヒカリはぐいぐいくる。仮にも恋人同士ではあるがこちらの心臓が持たない。結局、ヒカリから手を繋がれ、満員電車の中密着した時間を過ごした。
「どこに行くんだ?」
「浴衣を買いに行くんですよっ」
「浴衣?」
「夏祭りがあるんですよっ行こうと思って!」
「夏祭りか…」
夏祭りと聞いてヒカリが浴衣を着た姿を想像した。意識してるだけでこんなにもヒカリが可愛く見えてくるなんて自分でもおかしくなったのかと思う。
「ハマトラの皆も誘って行こうと思って」
「俺もか?」
「勿論ですよームラサキさんと行ってみたかったんですっ」
「お、俺と?」
「はいっムラサキさんとだと楽しいですし」
全くこいつは人の気も知らないで…
電車を降り、店を目指して手を繋ぎながら歩く。ホントにヒカリは昨日のことを何とも思っていないのか…。