第5章 学校の七不思議
「ごめんなさい、ムラサキさん…」
ムラサキさんの肩に自分の頭を預けてそう言った。今まで色々迷惑を掛けてきた。それも全部含めての謝罪だった。
「…ごめんなさいじゃなく"ありがとう"って言われる方が気分がいいんだが」
耳元でムラサキさんの声が響く。
「ありがとうございます、ムラサキさん」
「よし」
満足そうに頷くムラサキさん。そのまま部屋を出て廊下に出る。顔を上げて窓の外を見る。真っ赤な夕焼けで自分もムラサキさんもナイスくんも真っ赤に染め上げていた。
「あの…ムラサキさん」
「ん?」
「そろそろ降ろしてくれると嬉しいです…」
「あっ悪いな」
慌てて降ろしてくれる。その後ろでニヤニヤするナイスくん。何がそんなに面白いのか分からないがナイスくんはとにかく愉快そうだった。
「結局、七不思議は誰が起こしてたんだ?」
「多分…さっきの人だと思う…」
「だろうねー明らかに消えてたし」
さっきの先生らしき人は自分自身を透明に出来ていた。ミニマムだろう。それ以外検討が付かない。取り合えず、この件は保留になり、学校を後にすることに。
「俺、少し寄るとこあるから先帰っていいぞー」
ナイスくんは用事と言って私達とは逆方向に歩いて行った。ナイスくんは時々、こうしてフラフラどこかに行くが、一体どこで何をしているのか?ナイスくんは不思議な人だ。
「帰るか」
「はい」
ムラサキさんに促され、足を動かす。あの時言われた言葉が頭を過る。自分が世界を滅ぼす力がある?そんな話がある訳ない。ましてや私であるはずがない…
「ヒカリ?」
「は、はいっなんですか?ムラサキさん」
「ボーッとしていたようだからな、しっかりしろ」
「あ、はい…そうですね」