第5章 学校の七不思議
慌てて窓を開け放つ。ゆっくりとだが伸びていく。
「ここか…」
ナイスがいち早く居場所を突き止める。そこは茶色に染まった扉があった。眼鏡を外し、ドアノブを握る。
バキッ
ドアノブが歪むと同時に勢いよく自分の方に引く。ガシャンとドアが壁から外れ、部屋の全貌が見える。
「む、ムラサキさんっ」
「…」
倒れるヒカリの上に謎の男が覆い被さるようにいた。無情に腹立たしかった。
「あーあ…ムラサキが怒ってる」
「おやおや…それではまた会いましょう」
そう言ってフッと姿を消した。
《ヒカリside》
ムラサキさんとナイスくんのお陰でどうにか戦闘は避けられた。ミニマムを使いすぎて息が上がっていた。
「大丈夫か?ヒカリ」
「うん、ありがとう、ナイスくん」
ナイスくんにお礼を言ってからムラサキさんに顔を向ける。逆光で表情があまりよく分からない。するといきなり私を抱き上げてきた。
「ふえっ!!?ムラサキさん!!?」
「何が自分の身は自分で守るだ…」
私を支える腕が少し震えているのが分かった。心配してくれているのがよく分かった。こんなにもムラサキさんは私のことを…。