第5章 学校の七不思議
「なあ、ナイス」
「ん?」
「ヒカリを見てないか?」
「いや?別の階だし、見てる訳ねーだろ」
それもそうだ…ナイスが見ているわけない。
「ちょっと探しに行ってくる」
「…ムラサキ」
「なんだ?」
「お前、いつからヒカリの事好きになったんだ?」
ニヤニヤしながら聞いてきたナイス。だが、それは特に問題ではなくその質問に驚いた。…いつからだと?
「どういうことだ?」
「そのまんまだよ」
俺がヒカリを好きになった…?自分でも気付かないうちに。
「行動、発言からしてそうとしか考えられない…だろ?」
「っ////」
ナイスに言われて理解した。今まで感じてきたあの気持ちは"好き"だと言うこと。ヒカリにはなんかしら惹かれるものがあった。
「探しに行くんだろ?」
「あぁ」
ナイスと二人して三階に上がり、慎重に辺りを見渡す。
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《ヒカリside》
「…くっ」
「やっと見つけたよ…」
暗い物置らしき部屋に連れ込まれ、私は誰もいない空間を凝視するしかなかった。確かに声はするのに姿が見えない。
「どこにいるのよ…」
「ふふふっ」
不敵に笑う誰か。
「私を捜してたの?」
「そう、まさかこの学校に来るとは思ってなかったがね…偶然に感謝しなければ」
すると倒れたままの私の目の前に突如、男性が現れた。背は高くもなく低くもない。だが、明らかに分かること…生徒ではない、そして確実にミニマムホルダーと言うこと。
「もしかして…この学校の先生…?」
「そうだよ、まあ仮の姿だけどね…君を捜していたんだよ、"世界を滅ぼす力"を持つ君をね」
「!!?」
一瞬、何を言われているのか分からなかった。いきなり何を言い出すかと思えば…そんな力は生憎持っていない。
「誰かと間違えているんじゃないんですか?そんな力持ってませんよ」
「君が気づいていないだけさ」
私に顔を近づけてきてにっこりと微笑む謎の男性。頬から首に指でなぞられる。
「や、止めてっ!!」
「ふふっ…人類にとって最も対抗出来ないものはなんだか知ってるかい?」
「?」
「自然災害だよ」