第2章 依頼人
「…」
「…」
それを口にした途端、目の前にいる青年二人はしばらく固まる。
「…あのー」
すると、ヘッドホンをつけたナイスと呼ばれた青年が口を開いてこう言った。
「俺はパス、護衛ならまだいいけど彼氏役は無理だし」
「おい!ナイス!」
「ムラサキに任せるわー」
「ナイス!仕事を俺に押し付ける気か!?」
仕事を押し付けられた眼鏡をかけたムラサキと呼ばれた青年。ナイスと言う青年に質問を投げ掛けるが、ナイスくんは振り向いて一言。
「俺よりムラサキの方が適任だろ?いい組み合わせだし」
「そうゆう問題じゃない!!」
依頼人の私を放置し、二人の青年は言い合う。
「…あ、あの、それで…依頼は…」
「ナイス、お前仕事しなきゃ金が入んないだぞ?最近、金欠だと言ってたんじゃないのか?」
「大丈夫、大丈夫ーはじめちゃんにご飯、貰うし」
「…あげない」
「えぇえ!!?はじめちゃん、酷くない!!?」
「ナイス!話を聞け!!」
もはや、依頼の話などしていない。こんなところにお願いして大丈夫なんだろうか…?
「はあ…悪い、話が反れた」
「いえ…それで依頼は受けてくれるんですか?」
「受けよう」