第4章 子供になっても…
パァン
銃声がどこからか響いた。ナイスくんとはじめちゃんが戦っている相手に銃を持っている者はいなかった。
…あれ?
急に首が熱くなり、息が思うように吸えない。
「ヒカリ!?」
ムラサキさんの声もどことなく遠く聞こえる。全身から力が抜け、膝からガクンと倒れる。ソッと首を触る。ねっとりとした生暖かい液体が自分の手につく。…真っ赤な血だった。
「撃たれた…の…」
「ヒカリ!しっかりしろ!」
ムラサキさんが私の体を揺する。傷は深くないようだが、首は急所だ。ムラサキさんが私を必死に呼ぶ声がする。若干涙目なのは…
泣かないで…ムラサキさん…
そこで私の意識は途絶えた。
***********************
再び、目が覚めた時はまだ、ショッピングモールの中だった。目の前にははじめちゃんの心配そうな顔。
「大丈夫?ヒカリ」
「うん…」
どうやら長椅子に寝かせられていたようで背中が少々痛かった。首に手をやる。ガーゼのような布が私の首に巻かれていた。
「目が覚めたか!良かったー」
ナイスくんもホッとしたように私に駆け寄ってきた。
「…ムラサキさんは?」
「分かんない…戦いが終わった時にはいなかった」
回りを見渡せば乱闘の後が残っていた。今は警察がいて犯罪集団を連れていくところだった。
「ナイス」
「おう、アートか」
そこに若い警官が現れた。確か、彼はミニマムを持っていなかったものの学籍だけでファクルタースを卒業した…
「大丈夫ですか?首の傷は」
「はい、誰かが手当てしてくれたみたいで…」
「病院に行った方がいいんじゃないですか?」
「でも…ムラサキさんが…」
アート刑事は私を気遣ってくれたが私はムラサキさんの事が心配で気が気ではなかった。
「ヒカリ…」
はじめちゃんは私の手の上に自分の手を重ねた。
「私、ムラサキさんを捜しに行ってくる」
「でも、まだキミには聞きたいことが!」
「事情聴取は必ずやりますから、今は行かせて下さいっ」
アート刑事の返事も聞かず、椅子から立ち上がり走り出す。まだ、ふらつきは残るものの動けない訳ではなかった。ショッピングモールを出て、辺りを見渡す。
「曇ってる…」
どんよりと暗い空だった。