第4章 子供になっても…
はじめちゃんは口にはしないものの仕方ないなと言った感じでナイスくんにパフェの一部をあげる。
「…」
はじめちゃん、可愛いなあと思いながら視線をムラサキさんに戻すとジッとモンブランを見つめていた。子供が考えていることは行動を見れば分かる。
「食べますか?ムラサキさん」
「!…いや、別に俺は…」
「ホントにいいんですか?顔に食べたいって書いてありますよ?」
「………食べる…」
ボソッと呟くムラサキさん。中身まで若干子供に戻ってしまっているのかもしれない。モンブランを掬ってムラサキさんの前に差し出す。
「はい、あーん」
「そ、そんな事しなくても自分で食べれる!///」
「そんな事言わなくてもー一度だけやってみたかったんですっ」
ムラサキさんはしばし、スプーンに乗っているモンブランを見てから諦めたように口を開けた。なんだか母親になった気分だった。モンブランを食べるムラサキさんはなんとも可愛いかった。
「ヒカリ」
「ん?どうしたの?はじめちゃん」
「私にも食べさせて欲しい」
「え?それならナイスくんに…」
「ヒカリがいい」
はじめちゃんは自分はあげるだけだったのでしてもらいたかったのだろう。はじめちゃんにも食べさせてあげた。
特大パフェを一人で平らげたはじめちゃんは幸せそうな顔をしていた。それから本来の目的である私の買い物を始めた。
「何を買うんだ?」
「マグカップがこないだ割れちゃってその代わりを買いに」
「成る程」
雑貨屋に立ち寄り、気に入るものがないかと色々手に取って見てみる。その中に紫色の蝶が描かれたマグカップを見つける。
…ムラサキさんと同じ名前の色。
前に感じた気持ちと今の気持ちは違っていた。
「これにしようかな」
「なあなあ、これなんかどうよ?」
するとナイスくんが虎の絵がプリントされたマグカップを見せてきた。
「ふふっありがとう、ナイスくん、でもこれに決めたから」
「ふーん、いいじゃん」
マグカップを購入し、雑貨屋を出る。楽しい一日だった。