第4章 子供になっても…
私も何か食べようかとメニューに目を通す。最近、甘いものを避けてきたのでちょっと食べたくなった。
「モンブランでも食べようかな、ナイスくんとムラサキさんはどうします?」
「飲み物だけでいいよ」
「俺も」
二人して同じものを注文した。店員を呼び、オーダーを言ってくるまで少しの間、雑談が始まった。
「それにしてもさ、ムラサキとヒカリは結構仲良くなったよな?」
「最初に比べたら」
ナイスくんの発言にはじめちゃんが付け加える。確かに初めてムラサキさんに依頼した時は明らかに冷たい対応しか返ってこなかった。
「アハハッ確かにね」
「どんな心境の変化したんだよ?ムラサキ」
「なんでもいいだろ」
「へえ~」
ナイスくんがニヤニヤとムラサキさんを見ながら頬杖をつく。
「何がおかしい、ナイス」
「別にー」
「はいはい、ムラサキさん、睨まないの」
今にも掴みかかろうとしているムラサキさんを宥める。すると今度は私に視線を向けてきた。
「俺は今、端から見れば子供だ…ムラサキ『さん』と付けるのはおかしいと思うが?」
「それならムラサキさんのその口調、どうにかしてから言って下さいっ」
「…」
あ、黙った。いつも私が黙ってしまう側だったが今回はムラサキさんだった。ちょっと勝った気分。そのタイミングではじめちゃんが頼んだ特大パフェと私のモンブランがきた。
「パフェ…!」
キラキラとはじめちゃんが目を輝かせる。テーブルに置かれるや否やスプーンを手に取り、食べ始める。
「はじめちゃん、食べ始めるの早い…」
ナイスくんは呆れながら届いた飲み物をストローで吸う。
「私も食べようかな~いただきまーす」
私もモンブランにスプーンを差し込む。久々の甘いもの。モンブランをスプーンで掬い、口に運ぶ。栗の甘味が口いっぱいに広がる。
「美味しそうに食べるな、ヒカリ」
「だって久々に甘いもの食べたんですもんっ」
「はじめちゃーん、俺にもパフェ頂戴」
「…ん」