第3章 人探しと再開
《ムラサキside》
「ミー」
「…猫?」
とりあえず、真っ直ぐ進んでみようと思い、進んでいたところを真っ白な猫が俺に歩み寄ってきた。
「ミー、ミー」
「?」
猫は鳴くばかりで俺には何をやっているのか分からなかった。ヒカリが入れば、分かったかもしれないが…
「ん?」
再び、猫を見る。猫はまだ鳴いていて俺に何かを伝えようとるようにズボンの裾を爪を立ててすがる。
「いや…まさかそんな事…」
ある考えにたどり着いたがあるわけないと思い、首を振る。だが…何故かその考えだけ、妙な確信があった。
「…賭けてみるか」
足元にいる猫にバカらしいが声を掛けてみる。
「お前はヒカリがどっち行ったのか分かるんだな?」
「ミャア」
猫は俺の足元から離れて今いる道を真っ直ぐ駆けて行く。俺はその後を半信半疑のまま、追い掛けて行った。
《ヒカリside》
「ま、待てぇえ!!」
疲れ切った脚をどうにか動かして逃げている男性を私は追い掛ける。男性も必死に捕まるまいと逃げる。
「男の人だから…速いっ」
どうにか見失わず追い掛けていられるのは日頃の運動が役に立っているのかもしれない。狭い裏路地に入り、一気に暗くなる。男性が角を右に曲がる。私も同じように右に曲がると…。
「行き止まり…」
曲がった先は壁があり、行き止まりだった。男性は壁の前で私に振り替える。どうしようと言う不安の色で満ちていた。
これはチャンスだ!
「もう、逃げられないよ!さっさとお縄になりなさい!」
男性にそう啖呵を切る。だが、男性は私を見たまま動かない。もう行き止まりでどうすることも出来ないと言うのに…男性は笑っている。
「残念だったな、お嬢ちゃん…」
「え?」
「相手が悪かったって事だよ!!」
男性は私に向かって砂を投げた。なんてことのない砂が一瞬にして針に変わった。
「ひゃぁあっ!」
慌てて横に避ける。今まで忘れていた…私達が探しているのはミニマムホルダーかもしれないと言うことを。追い掛けているのに必死で頭から抜けていた。