第3章 人探しと再開
もう、かれこれ二時間は探しているんじゃないだろうか。
「いませんね…」
「そうだな…」
明らかに疲労の色が見えるムラサキさん。私もそうだが既に脚が痛くなっていた。ちょっとずつだが、ミニマムも使っていたせいもあるのか疲労は二倍だ。
「お前、ミニマム使ってただろ?」
「うっ…」
じっと顔を見られ、私はあからさまにムラサキさんの視線から逃れるようにそっぽを向く。
「はあ…それで?分かったのか?」
「分かってたらとっくに捕まえてますよ」
「そうだったな」
私の能力の範囲は半径1kmくらいまでしか届かない。それに知らない場所だったりすると皆(植物や動物達)は力を貸してくれない。気紛れで助けてくれるのもいるが、そうそういるわけではない。
「少し休憩するか」
「そうですね…」
コンクリートの壁に背中を預けて息を吐く。
「お前はここで待ってろ、飲み物かなんか買ってくる」
「え?で、でも!それなら私も行きます!」
「疲れてるんだろ?少し休憩してろ、すぐ戻る」
「…分かりました」
ムラサキさんが私を気遣ってくれているのは分かる。ポンッと肩を叩かれ、ムラサキさんは小走りで走って行った。
「ミニマム使っても見つからないなんて…」
もしかしたらもう、ここにはいないのではないか?と思ってしまう。でも、依頼人はまだここにいるとムラサキさんは言っていた。なら、何故、ハマトラに依頼なんかしたのだろうか…
「分かっているなら自分で探せばいいのに」
もしや、自分では捕まえることが出来ないから依頼したのか…。
「…一般の人では捕まえることが出来ない…」
あれこれ考えているうちに一つの仮説が出来上がった。
「ミニマムホルダーってこと?」