第3章 人探しと再開
「な、なんですか…?」
「…これだ」
ズイッと持っていたカップを私の方に付きだしてきた。どうしても譲れないらしい。私はそんな子供っぽいムラサキさんに内心微笑み、同時にため息もついた。
「分かりましたよーその変わり、間違ったらムラサキさんのせいですからね?」
「絶対、間違ってない!」
なんでそんな自信満々なのか分からない。それでも嬉しくなる私は可笑しい人だろうか。
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「違うな、このカップ」
店に戻り、マスターに買ってきたカップを見せると案の定違ったらしい。
「ほらー」
「ムムッ…」
悔しいのか恥ずかしいのか分からないような顔をするムラサキさん。マスターは買い直すのも勿体無いとの事でムラサキさんが買ってきたカップはハマトラ探偵事務所の面々が使うことに。
「あ!ムラサキさん、ハマトラに新しい依頼来てますけど、どうします?」
コネコさんが依頼の紙をムラサキさんにちらつかせながら、そう聞いてきた。
「他の奴らはいないのか?」
「皆さん、依頼に出掛けてます」
コネコさんがそう言うとムラサキさんは私を見てきた。
「別に私の事は気にしないで下さいっなんなら、私も手伝いますよ?」
「いや、お前は首を突っ込むな」
「えー!!黙って家に帰れって言うんですか!?」
「話が早いな、そうだ」
納得いかず、ムッとムラサキさんを見上げる。それを無視してコネコさんから依頼の紙を受け取る。
「人探しか…」