第2章 依頼人
「こればかりは流石に尊敬するな…」
「私もよ…」
話す声のトーンも疲れているせいか、静かで低い。
「あの、ムラサキさ」
ガシャァアアンッ!!!
私がムラサキさんの名を呼ぼうとしたまさにその時、ガラスが割れる音がした。ザワザワと会場がざわめく。何があったのか…
「待ちなさい!!私の指輪を返して!!」
「お母さんっ!!?」
慌てて廊下に出ると走り疲れたであろうお母さんが肩で息をしていた。どうやら犯人を追っていたらしい。
「どうしたの!?」
「私の指輪が!」
「指輪?」
「盗まれたのよ!!」
必死にすがり付くお母さんを支え、ムラサキさんに振り替える。
「ムラサキさん…!」
「しょうがない…探しに行く」
そう言うとムラサキさんは廊下を走り去った。私もお母さんの為に探しに行くことを決める。お母さんを近くにいた、人に預け、走り出す。
さっき逃げたならまだ、近くに!!
出入り口を見つけ、外に出る。そこにはムラサキさんと白衣を来た男性とサングラスをした軽装の男性がいた。
「バースデイ!レシオ!何故、ここに!?」
「警備の依頼をこちらからされてな」
「まさか、ムラサキまでいるとは思わなかったけどな~」
話を聞くかぎり、知り合いのようだ。バースデイとレシオと呼ばれた男性達は一言、二言会話を交わした後、走り出そうとしていた。
「待って!!!」
それを私が止めた。