第2章 依頼人
ムラサキさんを部屋に案内し、伊吹にムラサキさんを紹介する。
「では、ムラサキ様、採寸致しますのでこちらに」
「あぁ」
伊吹とムラサキさんは隣の部屋へと移った。
「ふはぁあ…」
一気に気が抜けた。さっきのムラサキさんのこともあるが、まずはパーティだ。今まで振る舞いの仕方や、テーブルマナー等々。いつ必要になるんだと思われる習い事をまさか、こんな時に必要になるとは…。
「お嬢様」
「ふぇ!!?」
「採寸が終わりました」
急に声をかけられ、変な声が出てしまった。振り替えると相変わらずの伊吹とムラサキさんがいた。
「そ、そっか」
「この後はお出掛けに?」
「そ、そうね、スイーツを食べに行こうと思って!」
「左様ですか、ではいってらっしゃいませ」
ムラサキさんの手を強引に引き、家を出る。
「随分、気疲れしているな」
「だから、甘いもの食べに行くの!」
大通りに出て行き着けのケーキ屋に入る。いつもと変わらない接客を受け、奥の席に向かい合って座る。
「ムラサキさん、何食べる?」
「何でもいい」
「うーん…確かオススメは季節のフルーツタルトだったかなー」