第2章 失恋レインボー
最低な恋をした。
思えばそんなにいい男じゃなかった。なのになんであんなクズ男に貢いでしまったんだろうって思う。最低だ。男のためのものを全部放り捨てて、残ったのは白しか残らなくて。私はどうしようもない虚無感に襲われた。
そんな時だった。
「あ」
「え?」
どこから入ってきたのか、少年のような顔をした男性が、部屋の中にいたのである。
「あの、何を……?」
この質問は、今思えばおかしかったと思う。けれども、最低な失恋をして、精神状態が異常だった。今から何されてもおかしくなかったのに、自暴自棄になっていたのだ。
「雪だるまくんがタンスに登っちゃったんよ」
「え?」
本日二度目の疑問符。見れば確かに、タンスの上には小さな雪だるまがぴょんぴょんして笑っているように見えた。
「えっと……こうしたらいいのでは?」
私は踏み台を出してきて、小さな雪だるまに向かって両腕を伸ばした。