第1章 子どもの頃の不思議な体験
僕は子どもの頃、雪だるまの虹を見たことがある。
僕は子どもだったから、今日は絶対青い服を着るんだとワガママを言って親を困らせた。
その日は家族とお出掛けをする日。僕はどうしても、お気に入りの服を着たかったのだ。
「洗濯しちゃったから、こっち着よう?」
なんて親に言われても、僕は納得出来なくて。
バタバタと自分の部屋に上がって行った時に、僕は雪だるまと会った。
セミがやたらうるさく鳴いていた暑い夏の日。雪だるまみたいな白と赤いマフラーがとても印象的で。
「どうして怒ってるん?」
その人が聞いてきた。
「僕の服がないの」
僕はまだ幼かったから、拙いながらもなんとかそう伝えると、その人はケラケラ笑った。
「じゃあ僕が染めてあげますよ」
「そめる?」
「好きな色は何色?」
「青!」
と僕が答えると、またその人はケラケラ笑って。僕と同じ色や、と青い帽子を指してそう言った。
それから僕のタンスから真っ白なTシャツを取り出して、指を一振した。
すると白いTシャツがあっという間に青色に染まって。僕は呆気に取られていた。
「これでどうやろ?」
「すごい!」僕は素直に感想を伝えた。「お兄ちゃん、魔法使いなの?」
「僕はおらふくん。雪だるまやで」
白い髪に眩しいくらいの笑顔をした、雪だるまなお兄さんがそこにいた。