第17章 料理を二度と作らないと決めた日(潔・凪・凛・ネス)【後編】
凪誠士郎
「🌸、ごめんなさい…」
布団に篭って泣いていると誠ちゃんの声が聞こえてきた。少し震えた泣きそうな声に思わず布団から出てしまえば、誠ちゃんはまるで捨てられた子犬のような顔をしている。
「俺、今日なんか疲れてイラついてて…。🌸に酷い事言ってごめん」
『…それって思わず本音を言っちゃったって事だよね』「本当は、🌸よく怪我したり火傷したりするし…焦げたら凄い悲しそうな顔するから。だから辞めて欲しいのにって思ってたから」
誠ちゃんの言葉に目を見開かせながら数回瞬きをした。つまり誠ちゃんは私を心配してたのに、私が料理を作るのを辞めないで今日も怪我してたからそれを見て言ってしまったという事なのだろう。言葉に棘があったのは、疲れていたせいなのかもしれない。
「でも、言い方が酷かった。🌸を傷付けたかった訳じゃない。疲れてイラついてたからって…ただの言い訳だし。ごめん、本当にごめん🌸」
徐々に小さくなる声。そんな誠ちゃんに近付くと手を握った。
『誠ちゃんは心配してくれてたんだね。ありがとう』「🌸…」
『次からは心配かけないように料理しないでおいたほうが良いかな?』
「それはやだ。俺、🌸の焦げたご飯好きだから。ケガしないように気を付けて作って」
『分かった』
「あとお腹空いた」
『なんか作るね』
そう言いながら台所に向かえば誠ちゃんは後ろを着いてきた。そして出来たのはやっぱり焦げたご飯。でも誠ちゃんはそれを美味しそうに食べてくれた。今度から怪我しないように気をつけなきゃなぁ。