第31章 子供は私だけで育てると決めた日(潔・千切・玲王)【後編】
千切豹馬
珍しく見る彼の泣きそうな顔に少し驚いていると、ひょーまはオロオロとしながらその場に立っているので國神さんが溜息を零した。
「俺、ちょっとトイレ行くから二人でちゃんと話せよ?」
そう言うと國神さんは立ち上がり、ひょーまの肩を叩くとトイレの方へと向かってしまいその場には私とひょーまだけ。
「座って、いいか?」
『好きにすれば』
「ん」
ひょーまは私の目の前に座るなり勢いよく頭を下げた。
「ごめんなさい。もう言わないって約束しておいて、また言ってごめんなさい」
『別に良い。別れたいって直ぐに言えるって事は、私と別れたいって思ってるって事よね?』
「違う!お前と、🌸と別れたいなんて思ってない」
真っ直ぐな目でそう言ってくるひょーまから、思わず目線を逸らしてしまう。
「俺に、チャンスください」
『チャンス…?』
「また🌸と一緒に居れるチャンス。そのお腹の子と三人で居れるチャンスが欲しい」
『チャンスって…またどーせ言うんでしょ』
「言わない。契約書書いても良い。だからチャンスが欲しいです」
そう頭を下げるひょーまに私は仕方ないなぁとなってしまう。昔からそうだ、喧嘩してひょーまが謝って来る度に私が折れる。結局私はひょーまに弱いんだろう。
『良いよ、チャンスあげる。でも次言ったらもう知らないからね?』
「っありがとう!」
「仲直りしたようで良かった良かった」
國神さんはホッとした顔をしてその後二人で國神さんにお礼を伝えた。その後はひょーまは喧嘩した勢いでまた言いそうになったが、ぐっと我慢して何故か「別れないからな!」と言うようになって思わず笑ってしまっている。腕にいる赤ちゃんと共に。