第31章 子供は私だけで育てると決めた日(潔・千切・玲王)【後編】
潔世一
『よっちゃん…』
肩を上下に動かしながら荒く息をするよっちゃんは私の顔を見るなり、その目からボロボロと涙を溢れさせていた。
「ごめん、ごめん🌸。もう言わないって何回も約束したのにまた言ってごめん、ごめんなさい」
よっちゃんは私に頭を下げながらそう言い、お店の床によっちゃんの涙が何粒も落ちていく。
「カッとなって言っちゃダメな事何回も言ってごめん。🌸が傷付くって分かってるのに…ごめん、ごめんなさい。ちゃんと直す、言わないようにするから。だから…」
そう言いながらよっちゃんは私に近付くとしゃがみこんで、私の両手を優しく震えながら握った。
「もう言わないって約束します。次、言ったら本当に愛想尽きてくれて良い。🌸の言う通り別れるし認知だけしてもう会わないようにする。でも、でもチャンスが欲しい。🌸とお腹の子と一緒にいさせてくれるチャンスが」
ぎゅぅと握る手に私は思わず溜息をついてしまった。するとよっちゃんは肩をビクリと跳ねさせていたが、私は椅子から立ち上がると視線を合わすようにしゃがんだ。
『もう、言わない?』
「言わない」
『次言ったら本当にもう知らないからね?』
「うん」
『じゃあ約束。指切りげんまんしよう?』
そう言うとよっちゃんは表情を明るくさせて勢いよく私に抱きついてきた。
「ありがとう!」
『ちょ、よっちゃん!もう…』
「お2人さーん、仲直りしたのは良いけどここ人いるからねぇ〜」
その後、よっちゃんはカッとなっても『別れる』という言葉は言わないようになったし、今三人で幸せに暮らしている。