第28章 子供は私だけで育てると決めた日(凪・凛・カイザー)【前編】
糸師凛
「お前とはもうやってられねぇ。別れる」
その言葉は私を絞め殺すようなもの。二度と言わないでねって約束したが凛ちゃんは忘れたらしく、私はもうやっていけないと思った。
『分かったよ、別れる。でも凛ちゃん、認知だけはしてほしいです』
そう言うと凛ちゃんは眉間に皺を寄せているのでエコー写真を見せてあげた。小さな小さな赤ちゃんの写真に凛ちゃんは直ぐに目を見開かせる。
「は?お前妊娠、してんのか…?」
『うん、してる。でもね凛ちゃん私、思ったの。直ぐに別れるって言う人は結婚しても直ぐに離婚するって言うんだろうなぁって』
だから離婚したらこの子が可哀想だからもう別れる方が正しいよ。そう言うと凛ちゃんは酷く顔を歪ませた。
『認知だけはしてね。養育費は要らない、それとこの子には会わせないしもう二度と会わない』
そう言うと直ぐに私はカバンを持って家を出ていった。この子には父親が一緒に居ないという可哀想な事をするが…
『寂しくないようにママがいっぱい愛してあげるね』