第28章 子供は私だけで育てると決めた日(凪・凛・カイザー)【前編】
ミヒャエル・カイザー
「は?認知?なにがだ」
不機嫌そうに言ってくるミヒャに私はエコー写真を取り出して彼の目の前の机に置いた。まだ眠っているように丸まって私のお腹にいる赤ちゃん、一緒に喜びたかったけどそうも行かない。もう二度と別れるなんて言わないって約束したのになぁ。
『赤ちゃん出来ました。でも、もうミヒャとは別れるし婚約の話も無しにして』
「ま、まて…🌸。待ってくれ…さっきの言葉…」
『無しにはしない。前に言ったよね?もう別れるなんて言わないでって…。私約束守らない人とはもうやっていけない』
そう言うと私は直ぐに寝室へと向かうとボストンバッグにある程度の荷物を纏めパスポートを手にしていれば、ミヒャが慌ててやってきた。
「待ってくれ🌸!」
『養育費は居ないよ。ただ認知だけはしてほしい。書類上に父親が居ないなんて悲しいことはしたくない。あと…この子には会わせない。約束守らない人を傷つける人には会わせたくないから。さようならミヒャ』
そう言って私は玄関の扉をパタンと閉めて出て行った。