第28章 子供は私だけで育てると決めた日(凪・凛・カイザー)【前編】
凪誠士郎
「もー面倒臭い。別れる」
それはもう言わないって約束したのになぁと思いながら、私はゆっくりと左手の薬指から指輪を抜くとエコー写真と共に机の上に置いた。
『分かった、別れよう。婚約も無しね。ただ認知だけはして』と言うと誠士郎は目を見開かせて固まった。婚約して2ヶ月だがもう終わりだ。きっと誠士郎はこれからもなにかあれば「別れる」と言うだろうし結婚しても「離婚する」とか言うだろうから。そんな無責任な人と一緒には入れないしこの子と一緒にいさせれないと思いながらまだ膨らんでないお腹を撫でた。
「は、…え…待って、🌸、お腹に…」
『いるよ、赤ちゃん。でも、誠士郎には関係ない。認知だけしてくれたら良いから。養育費も要らないから』
そう言うと誠士郎は固まり、私はそれを見てキャリーケースにある程度の荷物を詰め込んでから玄関へと向かい直ぐに出ていった。外の空気の冷たさが目に染みたのか涙が零れた。
『3人家族、幸せになる夢見たけどなぁ…』