第11章 心緒
ムッとしながら2杯目のハイボールを作り
ごくごくと口に含み一気に半分くらい飲んだ。
「そんなに飲んで大丈夫か?」
『大丈夫ですー、明日仕事休みですからねー。』
「一気に飲むとすぐに酔いが回るぞ。」
『今日はこのままソファーで寝るからいいんですよ〜。』
久しぶりに酔っ払って気分のいい私は
ニコニコ笑いながらお酒を楽しんでいた。
赤井さんは全くと言っていい程顔色は変わっていなくて、私より明らかにお酒に強いんだと分かり、また一つ彼のことを知れたのが嬉しかった。
私と赤井さんはそれぞれソファーの端の方に座っていて
三人掛け用のソファーだから私達の間には人1人が座れるくらいの空間ができている。
…この距離感が埋まる日は来るのかな、
と思いながらも今はこうして少しの距離がある方が落ち着く。
深夜のニュース番組を見ながら、ぼーっとそんなことを考えているとアルコールが回り、眠気が襲ってきて、私はソファーの背もたれに寄りかかった。
「おい、美緒。眠いのか?」
『んー……眠…くない、です…』
「全く…仕方のない奴だ。」
ソファーにもたれてウトウトしていると
フワッと浮遊感に包まれて、その後すぐ背中に柔らかい感触を感じ、ベットに寝かされたんだと分かった。
『んん…赤井さん…私ソファーで…』
「いいからもう寝ろ。」
赤井さんはそう言いながら私の頭を撫でてくれて
あまりの気持ち良さに襲って来る睡魔に抗えず、そのまま目を閉じた。
眠りつく前
赤井さんが何か言っていたような気がしたけど…
聞き取れなかったし、眠さの限界が来た私は
聞き返すこともせずに眠りについた。