第11章 心緒
「ええ。わかりました。ではまた明日ですね。」
赤井さんはそのまま電話を切り
お風呂から出てきた私に目を向けた。
『どうかしたんですか?』
「この後仕事があったんだが…
明日の朝に時間が変更になったんだ。」
『そうなんですか?
じゃあゆっくり休めますね!!』
「そうだな…たまにはホテルに帰ってベットで寝るか。」
赤井さんは私の横を通り過ぎて玄関に向かおうとしていて、私は咄嗟に彼の腕を掴んで引き留めた。
『どうやってホテルまで?』
「タクシーを拾う。」
『この辺じゃなかなか捕まりませんよ。
…赤井さんが嫌じゃなければこのままここで休んでいって下さい。今日は私がソファーで寝ますから。』
「いや、それは流石に…」
『今更遠慮なんかしないで下さい。私の事は気にしなくていいですから。』
いつも急に私の家に来てご飯を食べに来るくせに
赤井さんって変なところで真面目なんだから…
「お前がそう言うのなら…お言葉に甘えるとしよう。」
『どうぞどうぞ。
あ!そういえば赤井さんってお酒飲めます?』
私はキッチンに入って
一本のウイスキーボトルを取り出した。
『このお酒、親戚から貰ったんですけど私には強すぎて飲めないんです。』
「…ライウイスキーか。」
『はい。良かったらどうですか?』
「酒は俺の趣味の一つだ。頂こう。」
赤井さんは嬉しそうに笑い
ウイスキーのボトルを早く飲みたそうにジッと見つめていた。
グラス二つと氷を入れた小さなバケツとトング、
炭酸水を持ってリビングのソファーに2人で座った。