第11章 心緒
『赤井さん、お待たせしました!
今日はシーフードドリアですよ。』
「ん、美味そうだな。」
『私の得意料理の一つです。』
赤井さんはいつも私の作るご飯を美味しいって言ってくれて
優しい笑顔を向けてくれる。
その顔を見るのも私の楽しみの一つだ。
『今日はまたお仕事に戻るんですか?』
「ああ。」
赤井さんは普段ホテルに滞在しているらしいんだけど
なんでホテルに帰らないのか聞いたら…
「ホテルの飯より美緒が作る飯の方が美味い、
それにここへ来ると体も休まるんだ。」
……恋人同士でもないのに図々しいなとは思ったけど
私も赤井さんに会えるのは嬉しいから何も言わなかった。
ご飯を食べた後、最近は赤井さんが食器の片付けをやってくれてその間に私はお風呂に入る。
そして私が寝るタイミングで赤井さんも仮眠を取り
夜中のうちに出て行く…最近はいつもこんな感じ。
相変わらず寝る場所は別々で
ベットで寝るように言っても全く聞いてもらえない。
いつもジャンケンをするんだけど、一度も勝てたことがなくて私はずっと悔しい思いをしている。
今日もいつも通りお風呂に入ってからリビングに戻ると
赤井さんは誰かと電話をしているところだった。