第9章 恐怖
『っ…なんで……こんな……』
怖い……
怖くてたまらない…
先日までとは全く違う手紙の内容に恐怖を感じ
目をギュッと瞑りながら震える体を自分で抱きしめた。
浅い呼吸を繰り返していると、だんだん息苦しくなってきて涙が溢れ出した。
「美緒…落ち着け。」
『っ、あかいさ…』
「大丈夫だ。お前の側には俺がいる。」
隣に座っていた赤井さんは
私の肩に腕を回し、そのまま引き寄せて私を抱き締めた。
赤井さんの腕の中はとても温かくて
さっきまで息苦しかったはずの呼吸が徐々に落ち着いてきた。
一定のリズムで私の背中を優しくトントンと叩き
何度も大丈夫だ、と安心できる言葉をくれる。
もっと赤井さんの温もりを感じたくて
彼の胸にそっと頬を寄せ、私も赤井さんの背中に腕を回しギュッと服を掴んだ。
口に出して言う事は出来ないけど、それは離さないで…という私の意思表示。
赤井さんは私の考えをすぐに読み取り抱き締める力を強くしてくれた。
『赤井さん…』
「ん?」
『今日、だけでいいので…一緒に寝てくれませんか…?』
「…わかった、捕まってろ。」
私から身を離した赤井さんは私の膝裏に手を入れて担ぎ上げた。
…初めてお姫様抱っこをされてドキッとしていると
すぐに寝室に到着し、赤井さんと共にベットに横になると
彼は再びギュッと抱きしめてくれた。
『赤井さん…わがまま言ってすみません…』
「気にするな。お前が眠るまでずっとこうしててやる。」
…どうしてこの人はこんなに優しいんだろう。
私なんて何の取り柄もないただの教師で
迷惑ばかりかけているはずなのに……
「おやすみ、美緒。」
『おやすみなさい…。』
今までずっと自分の気持ちに蓋をして言葉にしないように気をつけていたけど…
…もう誤魔化す事なんて出来ない。
私…
赤井さんのことが好きだ。