第58章 褒美
「では、私は後ろを向いておりますので
まずはドレスにお着替え下さい。」
『は、はい…それじゃあ…』
ホテルマンの女性が後ろを向いたのを確認し
衣服を脱いでドレスを持ち上げると
それは肩が見えるオフショルダータイプ…
今つけている下着がつけれないな…と困っていると
ドレスのそばには肩紐なしのブラジャーも一緒に置かれていた。
まずはその下着を身につけ、
分かってはいたけどサイズはピッタリ。
続いてドレスも破ったりしないように恐る恐る身に纏い、置かれていたスタンドミラーに目を移した。
『……うわぁ…』
こんなに素敵なパーティードレスは着たことがなく
鏡に映った自分を見て思っていたよりも
赤色が似合っていて……驚きと共に感嘆の声が出た。
スカートの丈は膝くらいまであるけど
ウエストは部分はキュッとしまっていて
レースが刺繍されているから華やかさがある…
こんなに素敵なドレスを着て
赤井さんと食事ができるなんて…夢を見てるみたい。
「若山様、いかがですか?」
『あ、はい!ドレスは着れたんですけど
背中のファスナーに手が届かなくて…』
「お任せ下さい、…失礼致します。」
ジジジッ、とファスナーを上げてもらって
再び鏡に目を向けていると、ホテルマンの人が
ドレッサーの前に座って下さい、とお願いして来た。
「髪も軽く巻きますね?
華やかなドレスにはきっとお似合いでしょうから。」
…なんだかすごく特別扱いされてて申し訳ないけど
遠慮してたら時間が勿体無い気がして
私は大人しくドレッサーに座った。
派手じゃない程度に髪をくるくると巻かれ
形崩れしないようにスプレーを吹きかけられた。
そして用意してもらったドレスに合ったハンドバッグに自分の荷物を移していると、ホテルマンの人はヒールの高い靴を私の足元に置いていた。
支えてもらいながら靴を履き、再び鏡を見ると
なんだか自分が普段より大人びているように見えた。