第58章 褒美
「失礼致します。
本日は当ホテルに足をお運び頂きありがとうございます。」
私達に挨拶をすると頭を下げた2人のホテルマンに
私と昴さんも同じように頭を下げた。
「若山様とお連れ様には、丁重におもてなしするようにと穂積様から言付かっております。
それでは、こちらへどうぞ。」
丁重にって……
穂積さんわざわざそんな事まで言ってくれたの?
なんだか特別扱いされまくってて緊張するなぁ…
萎縮した気持ちのまま、ホテルマンの人の後ろを着いていくと、てっきりレストランに行くのかと思っていたら、到着したのはどこかの部屋の一室だった。
『あの…ここは?』
「部屋に入ってからご説明致します。
お連れ様の男性は隣の部屋にお入りください。」
「『??』」
私と昴さんは顔を見合わせて不思議に思ったけど
とりあえず言われたように
私は女性のホテルマンと…昴さんは男性のホテルマンと、
それぞれ別の部屋の中に入った。
『この部屋は…?』
「実は穂積様から
若山様にお渡しする物を預かっております。
それが…こちらです。」
『…っ、え…!?こ、これって…』
入り口から部屋の奥へと進んでいくと
ベットの上には可愛いワインレッドのパーティードレス…
それに合わせた靴や鞄、アクセサリーも置かれていた。
『こんな高価なもの受け取れませんよ!
ただでさえホテルのディナーや宿泊の予約までして頂いたのに、これ以上何かを頂くわけには…』
「穂積様は若山様に大変感謝をしておられました。
こちらはそのお礼だと仰っていましたよ?」
そんなこと言われても…
お礼ならもう十分過ぎるほど貰ってるのに…
「"着てくれないとドレスが無駄になる"
…とも仰ってました。
せっかくなので着替えましょう、
私がお手伝いさせて頂きますので。」
確かにわざわざドレスを用意してもらったのに
着ずにいるのは失礼だし勿体無い…
ここまでしてもらって本当に悪い気しかしないけど
私はドレスに着替えることを了承した。