第58章 褒美
「…馬鹿、笑うんじゃない。」
『ふふっ…だって昴さん
おもちゃを取られた子供みたいだよ?』
「自分でも情けないと思ってる…
…素っ気ない態度を取ってすまなかった。」
『ううん!私の方こそ
昴さんに嫌な思いさせてることに気づかなくてごめんね?』
互いに謝罪をしたところで
昴さんは私の顔を見つめ、いつものように笑ってくれて
柔らかい雰囲気に戻っていた。
「きっと子供が出来たら
美緒を奪い合うことになるんだろうな?」
『へっ…?こ、子供って…誰の子…?』
「?俺と美緒の子供に決まって……っ、」
昴さんは途中で口を閉ざしたけど
その言葉は私の耳にしっかりと入ってきて…
顔がすごく熱くなるのを感じた。
「悪い…変なことを言ったな…」
『だ、大丈夫…!!』
今の発言は完全に無意識だったんだろうけど
赤井さん…私との将来を考えてくれてるってことなのかな…
もしそうならすごく嬉しい。
期待して待ってても…いいんだよね…?
「…そろそろホテルに向かうか。」
『っ、うん!そ、そうだね!』
互いに何となく気恥ずかしいまま
私達は車に乗り込んで四つ星ホテルに向かった。
その間の車内…
私の頭の中はさっき言われたことが頭から離れなくて、ずっと顔が熱っており、
昴さんも照れているのか口数がいつもより少なかった。
でも居心地が悪いとは思わなくて
心の中はずっと幸せな気分……
そんな気持ちを噛み締めながら車に揺られること数十分…
私達は目的地のホテルに到着した。
ホテルの入り口に車を停めるとドアマンの人が立っており
駐車場まで車を移動してくれるそうで、昴さんは車の鍵を渡していた。
…さすが四つ星ホテル、
到着して早々、サービス精神に圧倒された。
そして一泊分の荷物を持ちホテル内に入ると
分かってはいたけど、かなり豪華で綺麗な内装…
本当に今日はここに泊まるのかと思うと緊張してきて
放心状態になりながら受付でチェックインを済ませた。
荷物は部屋に運んでもらえると聞き、
ベルボーイの人に預け終わったところで
女性と男性のホテルマンが1人ずつ私と昴さんの元に近づいてきた。