第58章 褒美
私達観客から大きな拍手を演者達に送り
照明が明るくなってから劇場を出た。
『すっごく良かったね!
迫力もあって楽しかった!!』
「そうだな。
アメリカのブロードウェイのミュージカルと同等だった。」
『へぇ!昴さんもミュージカルとか観るんだ!』
「昔酒場でアコーディオンを演奏するバイトをしていたから
音楽の勉強を兼ねて観に行ったことがある。」
アコーディオンを演奏する赤井さん…
絶対かっこいいじゃん!!
『今度私の前でも演奏してくれる…?』
「機会があればな。」
『やったぁ!!楽しみ!』
赤井さんの意外な特技を知れて
ミュージカルも楽しめて、私はずっとテンションが高いまま。
そんな私を昴さんは優しい眼差しで見つめていて…
カッコ良過ぎたから
周りに人がいなかったら絶対抱きついてたと思う。
「ディナーまでもう少し時間があるな…
どこかで時間潰すか。」
『そうだね!…あ、でもその前にトイレ行ってきていい?』
私と昴さんは建物の外に出る前にトイレを済ます事になり
それぞれ用を足しに向かった。
でもミュージカルが終わったばかりだから
女子トイレは結構並んでいて、きっと昴さんを待たせちゃうな…と予想できた。
…待って、確かこのパターン前にもあったよね?
横浜で…初デートをした時…
『は、早く戻らないと…!』
少しずつしか進まないトイレの列に焦ったさを感じながら
自分の順番になってからささっとトイレを済ませ
外に出て昴さんの姿を探すと…
『……あぁ、やっぱり…』
昴さんは以前と同じように
数人の女性達に囲まれて逆ナンされていた。
「お兄さん背高くてカッコいい!」
「ここには1人で来たんですか?」
「良かったら私達と遊びに行きません!?」
むっ…!
どうして昴さんはあんなに人気なの…!?
多分かっこいいだけじゃなくて
優しい雰囲気や何となく色気も出てるから
そんな昴さんに女性達は声をかけたくなるくらい
魅了されているんだとは思うけど……
以前は逆ナンされている昴さんを見たくなくて
視界に入れないように逃げた私だけど…
今日は逃げようとは思わなかった。