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《赤井夢》Happiness{R18}

第57章 綺麗







工藤邸に帰って来た私と赤井さん。


特に何もやる事を決めていなかったけど
赤井さんは私がすごく疲れているんだと思い
リビングでのんびりしてろ、と言ってくれて
今はキッチンでコーヒーを淹れてくれている。



帰りの車内でも赤井さんはいつも通りで
私の様子が変だって気づいているのにも関わらず
何かあったのか無理矢理聞いてくる事はしなかった。


…まぁ、もし聞かれても
言えるわけがないんだけどね。



「待たせたな、コーヒー入ったぞ。」

『ありがとう……あれ?』

「どうした?」

『昴さんの変装…解いてよかったの?』

「ああ、今日はもう出掛ける予定はないからな。」




素顔の赤井さんはいつも思うけどすごくカッコよくて
トレードマークのニット帽がよく似合ってる…

この人の素顔は
どれだけ時間が経っても見慣れないなぁ。




「美緒…?大丈夫か?」

『っ、うん、大丈夫…コーヒー頂きます!』

「…。」



本当に私は穂積さんに言われたように赤井さんにゾッコンで、顔を見るだけで好きって気持ちが溢れ出てきちゃう…

恥ずかしさを誤魔化すようにコーヒーを口に含んで心を落ち着かせようとしていると、
私が座っているソファーの隣に赤井さんが移動して来た。



「美緒…何かあったのか?」

『っ、え…?』

「スタジオから帰る時からずっと元気がないままだろう。
…誰かに嫌な事でも言われたのか?」

『ううん…!別に何も言われてないよ!』



むしろ赤井さんが何も言ってくれないから
モヤモヤしてるだけなんだもん…

でも私のドレス姿が『綺麗だった?』なんて
わざわざ言わせるのもなんか違うし…




「俺は…お前の元気がない姿は見たくない。」

『っ…』

「もしそれが俺のせいなら尚更だ。
言いたい事があるならどんな事でも聞く…
だから話してくれないか?」



…赤井さんってやっぱり大人だ。


いつも私の事を真剣に考えてくれて
心配しながら真摯に向き合ってくれる…。



そう考えると自分がいかに情けない大人だと思い知らされる。





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