第57章 綺麗
「僕も撮りましたよ!」
「俺もー!」
「私も撮っておいたわよ?」
「…実は僕も。」
…子供達は揃いも揃って写真に収めていたようで
美緒は照れくさいのか頬が赤く染まっていた。
「この写真、
先生のクラスのC組の連中にも送ってやろうぜ!」
『だ、だめだよ!そんな事したら…絶対だめ!』
「えー?どうしてー?」
『どうしてって…それは…』
「…みんな、もしその写真が広まったら
生徒達の親御さんにも知られるだろう?
最悪の場合、美緒さんが先生を辞めることになるけど…
それでもいいのかい?」
「「「えーー!?やだーっ!!」」」
子供というのは本当に素直だな。
それに美緒はやはり生徒達に好かれているようで
辞めて欲しくない、と即答されていた。
「なら、今日の事は僕達だけの秘密にしましょう。
いいですね?」
「「「はぁーーい!!!」」」
『…ありがとう、昴さん。』
お礼を伝えてきた美緒に笑みを向けてから
子供達と別れて歩き出そうとしたが…
「…コナン君、ちょっといいかい?」
「?なに?昴さん。」
俺はボウヤだけを引き止めて
美緒達に会話が聞かれないように少し離れた場所で彼に耳打ちした。
「美緒のさっきの写真…
あとで俺のスマホにも送っておいてくれ。」
「…赤井さん、撮ってなかったの?」
「あの茶髪の子が言うようにずっとあいつに見惚れてたんでな。」
「はは…分かった、送るね。」
「すまないな。」
話を終えたところで美緒の元まで戻り
何を話したいのか不思議に思っているようだった。
『江戸川くんと何話してたの?』
「何でもない、気にするな。」
『…?』
俺達は2人で車が停めてある場所に向かい
工藤邸帰ることになったんだが…
帰りの車の中でもやはり美緒は疲れているのか元気がないままでいつもより口数が少なく、
車内は屋敷に着くまで少し暗い雰囲気だった。