第57章 綺麗
side 赤井
多くのスタッフがバタバタと撮影準備をしているのを視界に入れつつ、俺は一緒に見学に来ている子供達の会話に耳を傾けた。
「若山先生、どんな衣装に着替えているんでしょうか?」
「モデルさんが着るものだし、きっと可愛いお洋服だよね!
哀ちゃんはどう思う?」
「そうね…やっぱり流行りの服とかかしら。」
美緒が着替えてる間、
ひたすらわくわくしながら待っている子供達…。
俺は彼らの会話を聞きながら
急なトラブルに巻き込まれたあいつに同情していた。
美緒は困ってる奴がいたら放っておけないタチだから
きっと着替えている間も、本当に自分が代役でいいのかと不安になっているだろう。
「昴さんはどんなお洋服だと思う?」
「そうですね…彼女なら何でも似合うと思いますから
どんな服でも早く拝みたいところですね。」
美緒を不憫には思うが
あいつがどんな服に着替えさせられているか興味はあった。
普段着ないような服を身に纏った姿なら
見てみたいという欲はあるからな。
「先生、若山さんの準備できました!」
「そう。じゃあ早く連れて来てくれる?」
「はい!今こちらに向かって…
あ、来られましたよ!」
その場にいた全員が撮影現場の入り口に目を向けると
現場内は一気に騒ついた。
「っ……」
「おぉー…」
「「「うわぁ……!!!」」」
着替え終えた美緒を見て全員が様々な反応をしていたが
それは全て美緒の美しすぎる姿に魅力されている声だった。
てっきり流行りの服だと思っていたが
恥ずかしそうに俯きながら現れた美緒は
真っ白なウェディングドレスに身を包んでいて…
俺はその姿を見て声が出せず息が止まり、全身に鳥肌が立つのを感じた。
初めて見る美緒のドレス姿は…
言葉で言い表せないほど美しかった。