第57章 綺麗

「あなた、名前は？」

『えっ、と…若山 美緒と申します…』

「若山さんね。
話を聞いてたなら分かると思うけど
私達とても困ってるの。協力してくれないかしら？」

『でも私…学校で教師をしてるので…
雑誌に載ったりするのはちょっと…』


「ああ、それなら問題ないわ。
今日はモデルの顔は写さない予定なの。
企業用に宣伝するために使う写真だから。」




いやいや、例え顔が写らなくても
モデルなんてやったことないし…。


断ろうと口を開きかけたら
そばにいた探偵団のみんなが後押しし始めた。



「先生、やってあげなよ！」
「とても困っているようですし！」
「困ってる人がいたら助けてあげろって
先生いつも言ってるじゃんかよ！」

『っ、それは…そうなんだけど…』


子供達にそんな事を言われたら
流石にもう断る事が出来なさそうで…


昴さんの方に顔を向けると
何も言わずに優しく微笑まれただけだった。



『わ…かりました…。やってみます…』

「ありがとう！じゃあ早速着替えてもらうわ。
彼女を控え室に案内してあげて？
他のスタッフの人達はすぐに撮影が始められるように準備、急いで。」


「「「はい！！！」」」


穂積さんがスタッフの人に指示を出すと
私はスタッフ数人に連れられて控室の一室に向かった。

紗栄子も一緒について来てくれて
お礼を言われたんだけど…


本当に私なんかが代役なんて出来るのかな…



不安になりながら着替える衣装が用意されている場所に行くと
そこには私が予想していたものとは全く違う衣装が視界に入った。



『まさか……これを私が着るの…？』

「あー…うん…。
今回先生がこのジャンルで初めてデザインしたものだから…
宣伝にかなり力入れててさ…？」

『そんな…聞いてないよ！
なんでウェディングドレスなの！？』




そう…私の目の前にあるのは
とても美しい純白で、綺麗なウェディングドレスだった。