第56章 返事 ✴︎
『安室さんの友人を死なせてしまったから…
赤井さんは自分を憎まれ役にしたの?』
「憎まれるのは慣れているからな…
安室くんには俺が拳銃で心臓をぶち抜いたと伝えた。
だが彼はきっと…スコッチは自決したと気付いている。」
『それならどうして…赤井さんを憎んでいるままなの…?』
「…見殺しにしたのは事実だ。
安室くんは大事な友人を自殺に追い込んだ俺を許せない…その気持ちは分かるからな。」
だから数年経った今でも
俺を憎むのは仕方のない事だと思っている…
許して欲しい、とは思わない。
…俺はそれ程のことをしてしまったからな。
『…。』
「悪かったな、美緒…
こんな暗い話をしてしまっ、て………美緒…?」
気分を悪くさせただろうと思い
謝罪をしながら顔を見つめていると
美緒の瞳から涙が流れ出ていた。
「すまない…やはり聞きたくなかったよな、こんな話…」
俺の話を聞いたら
きっとすぐには受け入れられないだろうと思っていた。
1人の男を殺したも同然の俺を
許せないと思われても仕方がない…
情けない男だと嫌われてしまったかもな…
そう思っていると
美緒は俺の体に抱き付き、力強く抱き締めてきた。
『辛かったよね…赤井さん…』
「……ん…?」
『助けようと思ってた人が目の前で亡くなる姿なんて見て…
ずっとずっと…安室さんに恨まれ続けて…
赤井さんは何も悪くないのに……っ、辛かったよね…』
「っ…」
思ってもみなかった美緒の言葉に驚き
なぜそんな事が言えるのか…俺には分からなかった。
「お前…俺の事を軽蔑しないのか…?」
『!!するわけないじゃん!
あ…!私が泣いちゃったからそう思ったの!?
ごめんね…!赤井さんがあまりにも辛そうで
その気持ち考えたら涙が勝手に出てきて…!
本当にごめん!!すぐ泣き止むから!!』
美緒はそう言いながら自分の手で涙を必死に拭っていて…俺はそんな美緒の手首を掴んだ。