第9章 恐怖
「悪いだなんて思わなくていい。
ストーカーは絶対捕まえてやる。だから俺を頼れ。」
『…。』
そんな風に言われたら
頼もしすぎて頼りたくなっちゃうよ…
それに…赤井さんが私のことを心配してくれるのが
嬉しくてたまらなくなった。
『本当に…いいんですか?』
「ああ。お前には…この間、酷い事をしてしまったからな。
せめてもの償いだ。」
多分この前の車での出来事を言っているんだろうな…
それしか思い当たらないし。
「今日からしばらくここに泊まってもいいか?」
『え!?と、泊まりですか!?』
「お前の家はもうバレてるし
夜寝ている時に忍び込まれる可能性だってあるからな。」
確かに…
赤井さんがいてくれるのは本当に心強いんだけど…
でも…それっていいのかな…
うーん…と悩んでいる私を見て
赤井さんはフッと口元を緩ませて笑っていた。
「心配しなくてもお前に手を出したりしない。」
『!?べ、別にっ…!そんな心配してませんよ!!」
「ふっ、そうか?なら俺の思い過ごしだったようだな。」
『〜っ!!』
赤井さんって結構意地悪だ!!
ムッとしながら睨んでいる私を見て
赤井さんはニヤついていたけど、そんな顔もカッコよくて…
私の顔は絶対赤くなっているだろう。
『…赤井さん、しばらくの間よろしくお願いします。』
「ああ。よろしくな、美緒。」
その日から私は、毎日仕事が終わった後
赤井さんに学校まで迎えに来てもらい、
アパートで一緒に夜を過ごしている。
もちろん寝る場所は別々。
赤井さんはソファーで、私は寝室のベット。
私はソファーでいいって言ったのに赤井さんは…
「家主をソファーで寝かせる訳にはいかない。」
なんて律儀なことを言うから驚いた。
でも私からすれば赤井さんはお客様で
ベットを使って下さいって言ったけど頑なに断られて…
仕方なくジャンケンで決めようということになったが
結果は言うまでもなく私の負け。
赤井さんはジャンケンも強かった……