第9章 恐怖
「…いつからなんだ?」
『1週間前からです…
誰かに尾けられていることに気づいて
ポストには時々、手紙と隠し撮りした写真が入れられてて…』
「見せてみろ。」
赤井さんに言われた通り、
近くの引き出しにしまっていた写真と手紙を出して手渡した。
…何か手掛かりを見つけようとしているのか
ジッと写真を見つめている赤井さん。
しかし、ストーカーからの愛の言葉が綴られている気持ち悪い手紙を見た赤井さんは、その手紙をグシャっと握り潰していた。
『あ、あかいさん…?』
「…悪い、つい力が入った。」
いや、ついって……
赤井さんは皺まみれになった手紙を封筒にしまい
私はそれを呆然と見ていた。
「ストーカーの犯人に心当たりはあるのか?」
『いえ…全くないです…』
「…そうか。」
赤井さんは何か考え込んでいるようで
私達の間には沈黙が流れ、時計の針の音だけが響く中
少し経つとようやく赤井さんが再び口を開いた。
「このまま放っておくわけにもいかないから
しばらくの間、俺がお前の身辺警護をする。」
『え……えぇ!?いやいや、そんなのいいですって!』
「何かあってからでは遅いだろう。」
『そうですけど…でも…
赤井さんだってお仕事忙しいんじゃ…?』
FBI捜査官だし、絶対忙しいはすだよね?
そんな人に警護してもらうなんて恐れ多いよ!
「確かに仕事の都合上、ずっとそばにいるのは無理だ。
だが、仕事終わりのお前を家まで送るくらいはできる。」
『でも…やっぱり悪いです…』
優秀なFBI捜査官に送迎なんてやらせられないよ…
そこまで迷惑かけるわけにはいかないし…。