第54章 放心
「おい!美緒!しっかりしろ!!」
体を起こして確認するが外傷は見当たらなく
必死に呼び掛けていると、美緒の瞼がゆっくり開いた。
『あれ…?すば、る…さん…?』
「っ、美緒……はぁ、良かった…」
声をかけるとすぐに目を覚まし、無事だった事に安心して
美緒の体を抱き締めると、なんだかいつもより
体が熱いようだった。
「お前…熱があるのか?」
『あ…うん、少しだけ…
それより赤井さんはなんでここに…?』
「美緒が学校を休んでるとボウヤに聞いてな、
電話しても繋がらないから様子を見に来たんだが
まさか倒れてるとは思わなくて驚いたぞ…」
少しだけ抱きしめる力を強くすると
美緒が恥ずかしそうに身を捩っていた。
『ご、ごめんね…?立ちくらみがして横になったら
床が冷たくて気持ちよくて…その…
ただ寝てただけなの…』
「そうか…。だが本当に無事で良かった。」
…安室くんや組織に何かされて
最悪の場合のことも想像してしまっていたからな。
寝ていただけと聞いて拍子抜けしたが
こいつが無事だったことの安心感が1番強かった。
「今度から学校を休む時には俺にも連絡してくれ。」
『うん…分かった。』
「今日は風邪でも引いたのか?」
抱き締めていた腕を緩め美緒の顔を見ると
顔色も少し悪いようだった。
『えっと…風邪…じゃなくて…』
「他に症状は?」
『……お腹と腰が痛いのと…あとは頭痛と微熱もあって…』
「!!何かの病気かもしれん、病院へ行くぞ。」
『はっ…?え、ちょっと!赤井さん…!?』
熱だけかと思ったらそうではなく
体の至る所が痛むと聞き、すぐに病院へ向かうため
美緒の体を抱き上げた。
「鞄に保険証は入ってるよな?」
『待って…!病院行かなくても大丈夫だから!!』
「そんなに体調が悪いのに大丈夫なわけがないだろう。
病院でしっかり検査してもらうぞ。」
美緒の上着を適当に選んで手に持ち、
玄関に向かおうとすると
俺の顔に美緒の手が伸びてきて、両頬に添えられた。