第54章 放心
side 赤井
ピリリリーッ
朝食を済ませ、沖矢昴の顔に変装し終わったところで
近くに置いてあったスマホが着信を知らせた。
今日は平日…しかもまだ午前中で時刻は10時近くだが
画面を見るとコナン君からの電話だった。
「どうしたボウヤ。今日は学校じゃないのか?」
「ちょっと気になった事があってさ…
昴さん、今って若山先生と一緒にいる?」
「いや…美緒は学校にいるんじゃないのか?」
「それが今日は休んでるみたいなんだ。」
休み…?
昨日の夜会った時には
今日も仕事だと言っていたよな…?
「どうして休んでるのか小林先生に聞いたんだけど
明らかに知ってる感じなのに知らないって誤魔化して言うし、ちょっと気になってさ。
昴さんなら何か知ってるかもって思って…」
「俺も今日はあいつから連絡を貰っていないんだ…
一度連絡してみるから切るぞ。」
ひょっとしたら昨日、帰った後に何かあったのかもしれない…
そう考えると心配になり
美緒に電話をかけてみたが、コール音がするだけで全く出る気配がなかった。
まさか…組織の奴らに…
もしくは……安室くんか…?
「っ…」
嫌な考えが思い浮かんでしまい
俺は急いで工藤邸を出て、車で美緒のアパートへ向かった。
美緒が無事でいることを祈りながら
スピードを上げて車を走らせ、アパートに辿り着いた。
車を降り、美緒の部屋の前で呼び鈴を鳴らしても返事がない…。
ますます不安になり、持っていた合鍵を使って部屋の中に入ったが、荒らされた形跡もなく、いつも通りだった。
玄関から1番近い寝室を除くと、そこには美緒の姿はなく
リビングの方に足を進め、扉を開けると…
「!!っ、美緒…!!」
視界に入って来たのは
寝巻き姿のまま床に倒れている美緒だった。