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《赤井夢》Happiness{R18}

第53章 詫言 ✴︎




『あの…通れないんですけど…』

「どうして怒っているんです?僕、何かしましたか?」



…一体どの口がそんな事を言うんだろう。

私を揶揄って楽しんでいたくせに!!



『別に…怒っていません。』
「怒ってるじゃないですか。」
『怒ってませんってば。』
「いいえ、絶対に怒ってます。」



…結構頑固だなこの人。



安室さんはずっと出口の扉の前から退いてくれず、
私は小さくため息を溢した。



「ひょっとして…
先程僕が言ったことに対して怒っているんですか?」

『分かってるじゃないですか…
反応に困るので、もう二度と私を揶揄うような事言わないで下さいね?』

「…揶揄う?」




私の言葉に安室さんは眉間に皺を寄せて
何故かすごくムスッとした顔になっていた。

…なんで安室さんが不機嫌になるの?


本当にこの人の事はよく分からない。



『とにかく、今日はこれで失礼します。』



安室さんの体を避けて
無理矢理出口の扉に近付こうとしたら…



「まだ…話は終わっていません。」

『え、…っ、きゃっ!!』



安室さんは急に私の肩を掴んできて、
私は体ごと扉に押さえ付けられた。




『ちょ、ちょっと…安室さん…?』

「僕があなたを揶揄ってあんな事を言ったと…
本気で思ってるんですか?」

『え…だって……それ以外に理由なんて…』

「僕が美緒さんを諦めたくないのは
それだけあなたを本気で想ってるってことです。」





私の肩を掴んで痛くない程度に入れられている力加減と、目の前にいる安室さんの表情からして…

とても嘘を言っているようには見えなかった。



「確かに僕は
何度かあなたを揶揄うような事を言っていました。
でもそれは…好きな女性を虐めたくなる男の心理です。」



す、好きな女性って…

それって安室さんは…本当に私のことを…?




「美緒さんは笑顔だけじゃなく
困った顔もすごく可愛いんです…。
あとは僕の事を少しでも気にして欲しくて…つい…」



…近い距離で真剣な表情の安室さんから
こんな風に言われるのは初めてで…


私には赤井さんという大好きな人がいるのに
心臓はドキドキと大きな音を立てていた。






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