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《赤井夢》Happiness{R18}

第53章 詫言 ✴︎




「安室さん、その女の人は新しいバイトの人?」

「あ、いえ…彼女は近くの小学校で教師をされているんです。
今日は訳あってポアロのお手伝いを…」


僕が小倉さんに説明し終えたところで
美緒さんは小倉さんに会釈をしてペコっと頭を下げていた。



そしてその様子を見た小倉さんの口元はすごくニヤついていて…




「ひょっとして…安室さんの彼女か!?」

『「!?!?」』



なんて事を言い出すんだ小倉さんは……


だが美緒さんと並んでいるだけで
恋人同士に見えたのかと思うと、それは少し嬉しかった。



『違いますよ!安室さんとはただの知り合いというか…』

「そうなのか?すごくお似合いに見えっけど…」

「あはは、そう言ってもらえるのは嬉しいですけど
美緒さんにはちゃんと恋人がいますよ。」



僕がそう小倉さんに伝えると
分かりやすくホッとしている美緒さん。

そして小倉さん達はテーブル席に移動していて
再び厨房に2人になったところで美緒さんに顔を向けると、小さいため息をついていた。



「…そんなに僕との仲を勘違いされるのは嫌ですか。」

『だって…あの人に申し訳ないというか…』

「あの男にはヤキモキさせておけばいいんです。」

『そんな事出来ませんよ…嫌われたら立ち直れません…』



奴が美緒さんを嫌う?…そんな事あり得ない。


昨日僕が電話した時も
声のトーンから僕に対して威嚇してるのが伝わってきたから
本当に美緒さんにベタ惚れなんだと実感させられたしな。



「あの男があなたを捨てたら僕が拾ってあげますよ?」

『なっ!何言ってるんですか!?』

「言っておきますけど
僕はあなたの事、諦めていませんからね。」

『へっ…!?ちょ、ちょっと…安室さん…?』


「安室さーん!!
カレーランチのオーダー3つ入りました!」



美緒さんと話していると
梓さんから声がかかって僕達の話はそこで終了した。



でも彼女からは分かりやすく
困ってます、という感じの視線を向けられている。



もっと困ればいい…


そうすれば美緒さんは僕の事を考えてくれる。


卑怯だと思われてもいい。



でも僕だって…美緒さんが欲しくてたまらないんだ。

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