第53章 詫言 ✴︎
side 安室
「安室さん、カレーランチ入りました!
お願いします!」
「了解です。」
ランチタイムの時間になり
ポアロではパスタのランチを出すことが多く
今日は珍しくカレーのランチをやっているから
注文してくれるお客さんは大勢いた。
「う〜ん!美味しいねこのカレー!」
「ほんと!カボチャの甘みがあって凄く食べやすいわ〜」
カレーを食べているお客さんの感想が
厨房にいる僕の耳に入ってきて、隣で手伝いをしてくれている美緒さんも美味しい、と褒められている声が聞こえたようで、とても嬉しそうだった。
「カボチャカレー大好評ですね?」
『まさかこんなに注文して貰えるとは思わなくて…
驚いてます。』
そう言いながら僕に目を向ける美緒さんは
先日見た悲しんでいる顔とは全く違い
僕が好きな可愛らしい笑顔だった。
…きっと恋人である赤井と仲直りしたんだろう。
彼女は本当に分かりやすいから聞かなくてもすぐ分かった。
ジッと美緒さんを見続けていると
彼女は僕の視線に気づいて首を傾げていた。
『安室さん…?どうかしましたか?』
「っ、いえ…。
それより手伝わせてしまってすみません…」
『気にしないで下さい!
安室さんにはこの前迷惑かけたので…
といっても手伝えるのは厨房の後片付けくらいですけどね。』
困ったように僕と話す美緒さんは
なんだかとても可愛く見えて…
やばいな…
僕はもう完全に彼女にハマってしまっているようだ…
「よう安室さん!ランチ食べに来たぞー!」
「!!小倉さん、いらっしゃいませ!」
頭の中で美緒さんの事を考えていると
近くでラーメン店をやっている店主の小倉さんがお店にやって来た。
そして僕の隣にいる美緒さんを見て
不思議そうな顔をしていた。