第53章 詫言 ✴︎
「美緒さん、カボチャのカレーの出来はどうですか?」
『すごくいい感じです。
あ、味見お願いできますか?』
そう…私が考案したのはカレーで
安室さんは鍋を覗き込み、スプーンで一口掬っていた。
「うん…すごく綺麗な黄色ですね。頂きます。」
「若山先生!私も味見させて下さい!」
『もちろんです。どうぞ!』
接客から戻ってきた榎本さんも味見をしてくれて
2人はカレーの味を確認すると、とても驚いた表情になっていた。
「美味しい…!美味しすぎますよこのカレー!
若山先生すごい!!」
「カボチャを蒸した後ザルで手間をかけて漉したから口当たりがとても滑らかで…本当に凄く美味しいです。」
『ふふっ、ありがとうございます!』
この前ここで肉じゃがを作った時
たくさんのスパイスが置いてあったから
今回カレーを作る事を思いついたんだ。
「カボチャ特有の甘さもあってカレーらしいピリ辛さもある…
こんなに美味しいカレーは初めてです。」
…そんなに褒められるのは流石に照れるんだけどな。
『とりあえずカボチャ一箱分は作ったので、これで大体40人分くらいかと…』
「若山先生、本当にありがとうございます!
このカレーもバンバンお客様にアピールしますからね!」
…さすが喫茶店の店員さん。
さっきも接客してるところを見ていたけど
榎本さんは本当におすすめ上手だと思う。
そしてモーニングの時間が過ぎ、お客さんが少し減り
ランチの時間になると、再び店内は
多くのお客さんで賑わい始めていた。