第53章 詫言 ✴︎
「カボチャのバタークリームサンドイッチですか…
いいですね!」
『モーニングとランチ両方にでも出せるメニューがいいかなと思いまして…無塩バターと砂糖と牛乳も使いますが分量はそんなに必要ないです。
2人前でカボチャ200gを消費します。』
「分かりました。
早速作ってみますので、ご指導お願いできますか?」
『はい。それともう一つご提案が…』
考えていたもう一つのメニューを安室さんに話すと
エプロンを手渡された。
「僕と梓さんだけでは難しそうなので
美緒さんも手伝って頂けますか?」
『はい!もちろんです!』
渡されたエプロンを身につけて
早速厨房で調理に取り掛かった。
「若山先生、
無塩バターはこれくらい混ぜればいいですか?」
『うーん、もう少し白っぽくなるまで混ぜて下さい。』
榎本さんに指示を出しながら
自分の手も動かして、もう一つの料理に使う材料を包丁で刻んでいく。
そしてカボチャのバタークリームが出来上がったところで
一度榎本さんと安室さんは味見をしているようだった。
「「!!美味しいっ!!」」
『良かったです!
バターをふんわりさせてから混ぜると
軽やかな口当たりになるんですよ?』
「これはきっと売れますね!
モーニングに来たお客様に勧めてみます!!」
榎本さんはウキウキしながらモーニングの仕込みを行い
私もランチ用の料理を作っている間に開店時間となり
お客さんが何人か来店した。
「梓ちゃんおはよー!」
「緑さん!いらっしゃいませ!」
どうやら顔馴染みのお客さんのようで
早速カボチャのバタークリームサンドイッチを頼んでくれた。
「んー!これすっごく美味しい…!
事務所の人にも食べさせてあげたいので
テイクアウトも頼んでいいですか!?」
「もちろんです!ありがとうございます!!」
榎本さんと同じように
安室さんも他のお客さんに勧めてくれて
サンドイッチの売れ行きはなかなか順調だった。
私はそんな様子を見ながら
目の前の鍋の中身が焦げないように掻き回していた。