第53章 詫言 ✴︎
『えーっと…じゃあ私を呼んだのは…』
「はい、美緒さんにカボチャを使ったレシピを考えて欲しくて、今日お呼びしたんです。」
…だよね、そういうことになるよね。
「若山先生、どうか力を貸して下さい!
お願いします…!!」
私に深く頭を下げてお願いする榎本さん。
…実は私も前世で料理人だった時
りんごを大量に誤発注して消費するのに苦労した事があったから……あの時の事を思い出すと、とても他人事とは思えなかった。
『分かりました!メニュー考えてみますね!』
「!!あ、ありがとうございます!」
『困った時はお互い様ですよ。
でも少しだけ時間もらえますか?』
私の言葉を聞いた2人は、モーニングの仕込みの続きや開店準備をすると言い、お店の中へと戻って行った。
『にしても1ヶ月で約100キロのカボチャか…
どうしようかな…』
幸い私がミスをしたりんごの時と同様、幅荒く使える食材だけど…短期間となると一度にたくさん使えるメニューを考えなければいけない。
私は大学ノートを取り出して
問題のカボチャ達と睨めっこを始めた。
『君達はどんな料理になりたいのかな?』
指でつんつんとカボチャに話しかけていると
食材庫の入り口から、プッと吹き出す笑い声が聞こえた。
「ははっ、美緒さんカボチャに話しかけているんですか?」
『!!もう安室さん!?いるなら声かけて下さいよ!』
「あはは、すみません。
それよりいいメニューは思いつきそうですか?」
『いくつか候補はありますよ!
ここの喫茶店のメニューには元々、
パンプキンスープとカボチャプリンがありましたよね?』
「はい。でもそれだと
牛乳や生クリームも同量に消費するので効率が悪くて…」
まぁ、そうだよね。
カボチャに合わせる食材もタダってわけじゃないから…
『喫茶店に合うカボチャのメニュー…よし。』
大学ノートに一つのレシピを書き込んでいき
書き終えたところでページをちぎり、安室さんに見てもらった。