第53章 詫言 ✴︎
『ありがとう、赤井さん。』
「だが何か困った事があれば連絡しろ。いいな?」
『うん!約束する!』
「いい子だ。」
私の返事を聞いた赤井さんは
抱き締めながら頭を優しく撫でてくれて…
あまりの心地よさに私はすぐ眠りについた。
ーーー…
ピピピッ…ピピピッ…
翌朝、午前5時。
私はスマホのアラームの音で目を覚まし
隣で眠っていた赤井さんも同じタイミングで起きていた。
『おはよう、赤井さん。』
「ん…もう起きるのか?」
『朝ごはん作ってくるから
赤井さんはまだ休んでていいよ?』
「そうか…?ならあと30分だけ寝る…」
赤井さんはそう言うとすぐに目を閉じて寝息を立てていた。
やっぱり日頃の疲れが溜まってるんだね…
ベットから起き上がって赤井さんに布団を掛け直し
寝室を出てキッチンに向かった。
朝ごはんを作るだけならこんなに早起きしなくてもよかったけど…どうしてもやりたい事があったんだ。
『うーん…これとこれと…あとはこれも使って…』
冷蔵庫を開けて、様々な食材を取り出し
頭の中で献立を考えていく…
『よーし!やるか!』
大体作るものが決まったところで気合を入れて調理に取り掛かった。
1時間後…
『…出来たーー!!』
私は朝ごはんを作るだけでなく、ある物も一緒に作っていた。
我ながらいい出来で満足感に浸っていると
昴さんに変装済みの赤井さんがキッチンに入ってきた。
『ちょうど朝ごはんできたよ!』
「すまないな、何も手伝えなくて…」
『いいのいいの!それより早く食べよ!
コーヒーも淹れておいたからね!』
赤井さんとダイニングのテーブル席に座り
朝ごはんを一緒に食べた。
そして赤井さんは身支度を整えるとすぐに仕事に向かうようで、まだ少し時間に余裕があった私は玄関までお見送りをすることにした。